スイスと言われると永世中立国で、冬季オリンピックなどでよく目にするようにスキーなどのウインタースポーツが強い、観光の国だというイメージがありますよね。
その他に、日本ではアニメ「アルプスの少女ハイジ」でも馴染みの深い国ですが、言葉についてはあまり知られていないような気がします。
今回は、そんなスイスの言語と「スイスで英語は通じるのか?」について見ていきます。
スイスでは「スイス語」が話されてるの?
スイスは正式名称を「スイス連邦」と言い、中央ヨーロッパにある連邦共和制国家ですが、首都はベルンでチューリッヒ、ジュネーブ、バーゼルに次ぐ4番目の規模となる都市です。
赤い下地に白の十字マークであるスイス国旗は誰もが知っていると思いますが、同じような白地に赤色の国際赤十字のマークは、赤十字の創設者であるスイス人実業家アンリー・デュナンが、スイスに敬意をはらってスイス国旗の色を反転させたものだということを知っている人は少ないかもしれませんね。
そんなスイスですが「スイス語」というのはありません!
スイスでは歴史的・地理的な要因から「ドイツ語」「フランス語」「イタリア語」「ロマンシュ語」という4つの言語が公用語とされています。
このため、テレビなどの公共放送も4つの公用語を使用して放送されており、スイスのお金であるスイス・フラン紙幣には発行元のスイス国立銀行という文字と金額が4つの言語で表記されていますし、硬貨もどの言葉を使う人でもわかるようにとラテン語表記がなされています。
また、市販される商品の成分表示なども4つの公用語で記載されています。
4つの言語を公用語とはしていますが、4つの言語を全て話せるスイス人はそれほど多くなく、ドイツ語は話せてもフランス語は話せない、フランス語は話せてもイタリア語が理解できないというスイス人も結構いるようです。
地域的に見ると、チューリッヒが位置する北部と中部では主にドイツ語が使われていますが、その多くはアレマン語系の「スイス・ドイツ語」と呼ばれる方言で、新聞やテレビ、ラジオのニュース番組ではドイツ標準語が使われているものの、ニュース以外の一般番組や天気予報ではスイス・ドイツ語が使われています。
そして、フランスに国境を接する西部はフランス語、イタリアに接する南部ではイタリア語が使われます。
ただ、4つ目の公用語であるロマンシュ語は、かつてのローマ帝国時代にアルプスの山麓に暮らしていた山間民族の原住民語で、南東部のグラウビュンデン州のごく一部の人たち、特に高齢者の人たちによってはなされている言語です。
スイス人同士の会話でも、ドイツ語圏スイス人と非ドイツ語圏スイス人が会話するときは、公用語のフランス語の他に英語を用いることが多いようですが、これは学校教育で英語を必修科目としていて、使用公用語以外の公用言語を選択科目とする学校が増えているためのと言われています。
チューリッヒで英語は通じるの?
特に、若い人たちは英語を使用する頻度が高くなっており、旅行客が多いスイスは日本と比べると英語は通じる方で、大都市であるチューリッヒでは日常生活でも不便がないくらい英語が良く通じるとのことです。
しかし、観光客が多く訪れるレストランや観光地では英語でのメニュー表示や案内板も多くあるものの、国境付近になると英語が通じないところが多くありますので、事前にチェックしておく必要はあります。
ちなみに、チューリッヒで言うと駅の窓口や車掌さん、ホテルのフロントやポーター、レストラン、デパート、観光地のお土産屋さんなどでは、ほぼ英語が通じます。
意外なところでは、スイスの西側に位置し、第二次大戦前に国際連盟の本部が置かれ、現在でも国際連合欧州本部や数々の国連機関が置かれているスイス第二の都市ジュネーブでは、世界各国からの駐在員も多いので、広く英語が通用すると思ってしまいますが、実際は英語と同じく国連の公用語でもあるフランス語を使う人が多く、思っていたより英語が通じないということもあるようです。
スイス人は、第一印象では「冷たく取っ付きにくい」というように打ち解けるまでに一定の距離を置いて警戒心が強いような一面が見られ、愛国心がとても強く、安易に他文化を受け入れない国民性だと言われます。
これは、山に囲まれた地形で島国のような感覚を持っているためと言われますが、スイス人は時間に厳しく、ルールを守る勤勉で真面目な人が多いという点では日本人とは相性がいいかもしれません。
さらに、議論好きでおしゃべりをするのを好き好きな人が多く、理論的な言い回しが好まれる傾向が強いようで、例えば遅刻したときには、まず謝るより先に何故遅れたのかという理由を説明することが求められ、日本のように理由(理屈)を言うよりまず謝るというようなことをすると、その場しのぎのように捉えられてしまうようです。
ただ、自己主張が強く、個人主義的な面があるところなど「和を以って尊ぶ日本人」とは大きく違うところもありますが、一度打ち解けると、とても親切で世話好きな人が多いようですから、まずは実際に現地を訪問してスイス人と接してみることをおススメします!
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